CAFE 香庵 [koh-an]
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かなねこめがね
庵主はいくつもの色眼鏡でものごとを見ています。そこで仕入れた個人的に旬の話題をとれたて直送。ご自分の舌でよくお確かめの上お召し上がりください。

ご意見ご感想などいただけたら幸いです。
お返事は書けないかもしれませんが、
大切に読ませていただきます。
E-mail:cafekohan@aol.com
 
  
「うつ」の効用
   

   コメント:0      Date:2005-04-22   

  

お久しぶりでございます。
1月末の書き込みの次がすでに4月半ば。
うう~ん、情けない…

1月20日にポートランドに戻ってからのいろんなネタは
あるのですが、
(部屋探しと引越しとか、PWCPのいろんなイベントとか、
友達にくっついて習い始めたタンゴとか、腰痛ならぬ首痛とか、
最近初めて体験した「ファミリー・コンスタレーション」という
家族ワークの方法とかとか~)
最近は本当に時間に羽根が生えてしまい、書けないうちに
自分の中での旬が過ぎていってしまいます。
くっすん。

その分(?)今回は長いですよん(笑)
で、今日のネタは、「軽いうつ」と「べき/ねば」です。

実は私、一月末ぐらいまで、「何にもする気が起きない」病に
かかっておりました。
食欲も睡眠もすこぶる快調だったので、「うつ」というのは
はばかられますが、まあでもちょこっと軽いうつ。

いつ始まったかというと、昨年11月あたり。
私が「ゲート3」という関門をくぐって、来る5月に
卒業することが確定した後でした。

PWCPのディプロマプログラムでは、卒業前に3つの関門、
ゲート1,2,3が設定されています。
これを通れるかどうかは、スタディ・コミティ
(各学生の直接指導に当たる3人の先生+学生本人で
構成される委員会)の話し合いで決まります。

特にゲート3が難関で、スタディ・コミティの先生たちが
「よし、この学生は今日卒業してもいいだけの力がついた」と
思えないと、OKが出ません。

その代わり、ゲート3を通ってしまえば、その数ヵ月後に
行われる卒業試験では絶対に落第しません。
「卒業試験」とは呼ばれるものの、実際には、
これまでは直接指導に関わっていなかった先生たちから
8つの科目のスーパービジョンを受ける3日間です。

学校教育として考えるとわかりにくいと思いますが、
日本舞踊とかで名取になるようなものと考えてください。
いつ名前がもらえるかはお師匠さんの判断に任されていて、
何年かかるかわからないですよね。
「卒業試験」はお披露目会で、この子は一人前になりました、
こんな踊りをしますよ、とその道の諸先輩方に見て頂き、
ようやくプロの世界の入り口に立つ、って感じです。

で、10月に晴れてゲート3を通った直後は、
幸福な高揚感がありました。
思わずその足で古着屋に行き、派手めなTシャツを
買っちゃったくらいです。
そして、今まではできなかったこと―
たとえば、PWCPの学生生活について、学生たちが
自分たちの失敗から学んだ知恵を後輩に伝える、という
プロジェクトを始めました。

これがそれまでできなかったのは、PWCPのシステムや
先生たちへの批判も含まれるので、先生たちに悪い印象を
与えたら卒業の許可が遠のく、と恐れていたからです。
(まあ正直に言っちゃうと、自分のことで忙しすぎて
人のことまで手が回らなかったのも大きいんですけど~)

ほんとうは、卒業にひびくかどうかは、やってみないと
わかりません。
でも何より私の中に、「お前にはそんなことをする権威はない。
まだまだ未熟だ。何かやるならもっと成長してからにしろ」と
決めつけている怖い「権威」ががっちり存在していました。
(過去形で書きましたが、もちろん今も存在しています)
それを先生たちに投影していた、という面も大きいのです。

ちなみに、こういう内なる権威を外に投影せず、
自分の中で統合することが、ディプロマプログラム
最終段階での大きな課題です。

ゲート3通過後、これがとっても楽になりました。
OKをもらったことで自信がついたのが一番ですが、
もう先生たちにどう思われても大丈夫、という
実際面の変化も大きいです。
何せ試験には落ちないんですから。

もちろんまだ学生なので、先生たちほどの責任や期待も
背負ってませんしね。

自分の中で自分を批判し落第させる声が静まったので、
純粋に学ぶことに集中できて、スーパービジョンが
とっても楽しくなりました。
ほんとにお気楽な、天国のような時間です。

とはいえ、もちろん卒業前にしなければならないことも、
数え上げればきりがありません。
自分がまだ不得意なところを集中的に勉強したり
(すなわちスーパービジョンをたくさん受けたり)
試験に来てくれるクライアントを探したり、
卒業後どうするかの準備や計画をしたり、
今までできなかったあれもこれも!

と思い始めたところで、「やる気が起きない病」に
気がつきました。

個人セッションでワークすると、「やる気がない」君は
とことんやる気がなく、ほとんど自我さえもなく、
海と空に溶けてなくなっちゃうようなプロセスでした。

もっとも、何か来た時にさっと捉まえることはできたので、
セラピストからは「そのままでいなさい。今にチャンスが
来たら捉まえればいいし、時が来たら活動的になるから」と
言われ、ほんとか??このままだったらどうしよう?!と
一抹の不安を抱きつつ、いろんなことを先送りにして
東京で冬籠りをしていました。
12月1月の書き込みは、そんな冬眠時の夢のようなものです。

で、1月下旬にポートランドに戻ったのですが、
部屋探しをしながら、なんだかずいぶん精力的に
動いている自分を発見しました。
探し始めて5日目に今のアパートを決めたのですが、
5日で20件以上見てまわったと思います。

そして、新しい部屋に移ってから、いろんな深い夢を見ました。
海底が盛り上がって新しい島ができ、さんさんと朝の光が
降り注いでいる、という夢を見た朝は、「うわあ、私は
本当に新しいアイデンティティが生まれる時なんだ~」と
しばしうっとり(笑)してしまいました。

そんなある日、微細なシグナルにさといスーパーバイザーから、
「香苗、うつになってる?」と聞かれました。
「えっ?いえー、とっても快調ですよ?」と答えたものの、
その日のワークはうつぶせになってイメージの中で
深ーく降りていき、再びこの島のイメージに出会う、
という展開になりました。

島が盛り上がるためには、一度、本当に深く海底に
降りていく=自分の内面に深く降りていく(=うつ)が
必要だったんですね。

プロセスワークでは、うつを大きく2種類に分けて
考えるのですが、私のは、外面からしばらく退いて、
自分の内面に深く触れ合うためのうつだったようです。
(ちなみにもう一つは、自分がまだ意識化できないパワーに
 押し込められてしまううつです)

そして、ふと気づくと、いろんなプロジェクトに参加、
または改めて動かし始め、また新しいプロジェクトの
オファーが来る、というようなサイクルに入っていました。
小さいのまで含めてプロジェクトのリストを作ったら
11個もあって、自分でもびっくり。
学内のクリニックでお会いしているクライアントの方とも、
セッションの質が深まった気がします。

そして、一日の終わりに、「よしよし、君は今日一日
よくやったね」と自分に対して肩を叩くような気持で
いることが、前に比べて増えました。
今までなら、「あれはこうすべきで、あれもやるべきなのに
やらなかった」と欠点をあげつらうことが多かったのに。

私の中の「かくあるべき」権威君が、すこおし、
変わってきたようです。

もちろん私はまだまだ完璧主義者ですし、それは
うまく働けば向上心とも言い換えられる大事なものです。
でも、「こうすべきだったのにっ!ぴしっ!」と決めつけて、
自分をあるべき型にはめ込もうとすると、切り捨てた分や
むりやり押し込んだ分が痛くって、生きるのが大変。

頭ではそうだとわかっているのに、やっぱり、ついつい、
はめ込んじゃうんですよね(笑)

私は6年間のPWCP学生生活で、「かくあるべきプロセス
ワーカー」になろうとして、無意識にいろんな窮屈さや
痛みを自分に強いてきました。
同じ理由で、PWCPやディプロメイトたちが「かくあるべき
プロセスワーカー」でないことに、怒ったり失望したり
してもきました。
その怒りや失望のワークを通じて、自分の中の権威の問題を
ワークしてもきました。

おかげで、その「型」から、少しずつ、
自由になってきたかな~と思います。
新しい島は、なんだか、ムーミンに出てくる
「にょろにょろ」たちのような形をしているんです。

そしてこのごろ、ようやく、プロセスワーク自体を
楽しめるようになってきた気がするんですね。
日々の暮らし自体も、楽しんでいる気がします。
たとえば、部屋の掃除をする回数が増えました。
(「それは程度が低すぎ!」と権威君は言っていますが(笑)

長かったPWCPでのトレーニングも、あと一ヵ月で終わります。
あああ、長かった。ここまで。
よくやったぞ、私。

でもこの道は、奥が深い(笑)
セラピー道も芸事と同じで、しょせん終わりがありません。
「ディプロメイト(認定プロセスワーカー)」になった後こそ
本当の修行が始まるというものでしょう。

その後の道のりを一緒に歩いてくれる「私」が、
以前に比べたらずっと、
自分を許し楽しめる「私」になってきたこと。
学ぶことを、本当に純粋に楽しめるようになったこと。

それこそが、この長かったトレーニングの何よりの
成果かもしれません:)

最終試験が終わったら、またご報告しますね~。

  
  
       
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