センシエント後のPW
ここ数年、ミンデルは「エッセンス/センシエント」と呼ばれる概念を導入。現実を3つのレベル(合意的現実、ドリームランド、エッセンス/センシエント)に分けるようになりました。
1)合意的現実Consensus
Reality
ある文化の中でみんなが「これは現実だ」と合意できるような、目に見えたり聞こえたりするようなもの。私は私、あなたはあなた、の世界。
2)ドリームランド
みんなに合意してもらうのが難しいような、主観的なもの。夜見る夢やイメージ、体験の意味など。私とあなたが交換可能な世界。
3)エッセンス/センシエント
ものごとがイメージなどの形を成す以前、すべてが一つであるような領域。以前の用語でいえば「ドリーミング」ですが、そのうちはっきりと形をなしている夢のイメージなどはドリームランドとして独立させ、まだぼんやりとした兆し、いわく言いがたい雰囲気などとしてわずかに感知されるような領域を言うかと思います。また量子力学の世界や、道教のいう「言葉にできないタオ」にあたります。私とあなたがまだ分かれる前の世界。
最近は、この3つの世界をどれも大切にし、自由に行き来できるような気づきawarenessをもつことが強調され、それに常に気づいていられるような意識状態を「明晰な夢見lucid
dreaming」と呼んでいます。「ディープ・デモクラシー」も、この深い一体感の世界、対立する両者それぞれの真実を理解しつつ彼らをその上に乗せている大地のような態度から語られることがあります。
また、量子力学用語の「非局地性non-locality」も、よく語られることばです。この言葉は、「一つの場所に限定されない」という意味に受け取っていいかと思います。その例としてはインターネットが挙げられます。
量子の世界のようなたいへん微細な世界になると、ある電子がいつどこにあるかといった時間や空間は確定せず、傾向/可能性としてしか捉えられなくなるそうです。一つの電子が同じ時に複数存在する可能性や、遠く離れている電子同士がシンクロして動いたりすることもあるようで、ユングの言うシンクロニシティを説明する原理になりえます。さらに希望を加味して言えば、私たちが小さなグループで行うワークが、この地球上のあちらこちらにつながってなにかしらの変化を起こすかもしれない、と思える考え方でもあります。ワールドワークを行う背景には、このような希望もあるかもしれません。
創始者が現在も活発に活動しており、またさまざまな人たちがその実践に関わっている以上、プロセスワークも変化を続けています。その一端はミンデル夫妻のウェブサイトでもご覧になれます(全部ではありませんが、日本語訳もあります)。特にセンシエント以後のPWについては、エイミー・ミンデルの「プロセスワークの進化と私Amy
on the Evolution of Process Work」がたいへんわかりやすく書いてあってお勧めです。
【プロセスワーク】 成立|いくつかの特徴|センシエント後のPW|関連文献
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